2011年2月18日金曜日

前田建設ファンタジー営業部が『ロックマン 10 宇宙からの脅威!!』のステージ設計に挑戦(前編)

老舗の大手建設会社、前田建設には異彩を放つ部署が存在します。彼らの名前は前田建設ファンタジー営業部。これまでに「マジンガーZ」や「銀河鉄道999」の発着用高架橋の建設に関する計画書や見積もりを作成したという実績を持ちます。そんなファンタジー営業部が『ロックマン 10 宇宙からの脅威!!』のステージに挑戦しました。その模様は昨日の記事でもインサイド目線から紹介していますが、こちらはいつもの前田建設テイストでお届けします。

最近、色々とご新規のお客様からお声がけが続き嬉しい限りだが、またも依頼があったんだ。

ありがたいですね。日本の元気のなさを指摘する報道が目立つ中、日本の有望分野としてゲームが期待されてることの表れでしょうかね?

理由はどうでもええやないか。相変わらずウチの部署は市場独占中、ブルーオーシャン驀進航海中や。で今回はどちらさんで?

君は嬉しいんじゃないか?今回の依頼はロックマンの最新作「ロックマン10」の8つステージの実現に関するコメンタリーゲストなんだ。

おおー!大阪の誇り。「遊文化をクリエイトする感性開発企業?CAPCOM」やね。


…あのぅ、関西人は皆、カプコンさんの企業理念がソラで言えるもんなんですか?


なんか楽しそうやから株主になろうとしたんや。けど株は難しくてやめた。


そりゃ君の努力不足もあるな。CAPCOMさんのIRページは日本屈指の充実ぶりだぞ。
で、実は今回の依頼もおそらく歴代F営業部屈指の難しいものになる。
それゆえ私の判断でコメントレベルの対応とさせていただいたが、それでも皆、気を引き締めて業務にあたってほしい。

そうですか?モンスターハンターやらバイオハザードならまだしも、ロックマンの舞台は、さほど複雑な建造物ではなかったような記憶がありますが。

確かにわしらが子供の頃のロックマンやったら、横スクロールのシンプルなステージやったわ。けど、今は複雑になってるんちゃう?

ロックマンシリーズには様々な展開があるが「ロックマン10」においては君たちの記憶のまま、懐かしい感じでシンプルだ。それが今回の難しさの源泉なんだよ。



こうして飯田橋駅から都庁前駅まで都営大江戸線に揺られること13分、部員はCAPCOM東京オフィスのあるビルに足を踏み入れた。

CAPCOMさんの受付ロビーは、おなじみの有名ゲームに関するデモ画面、ポスター、人形、おもちゃがひしめく華やかな世界。「もしかしたら受付係もロボット?」と期待したがさすがに人間だった。

ただし美しい女性だったので、それはそれで期待値を上回る結果になったのは内緒である。

受付近くの大きな会議室に通されると同時に、CAPCOMさんの関係者がいずれもカジュアルな着こなしで、次々と集まって来る。対照的に前田側は全員落ち着いた色のスーツ。

“CAPCOMさんも我々も、職業欄には同じく「会社員」と書くんだよな”といった不思議な思いと共に名刺交換が始まる。

多くの方が1つの会議室に大集合したため、社交ダンスのようにあちこちで思い思いのペアができお辞儀がはじまったのは、今回のプロジェクトらしい楽しい始まりだった。

ただ、私は緊張も手伝ってCAPCOMの鶴ディレクターに自分の名刺だけ渡し、鶴さんの名刺をもらい忘れるという失態を演じてしまった。(鶴様、大変失礼いたしました。)



皆様、ようこそCAPCOMへ!プロデューサーの竹下です。


どうも。ディレクターの鶴です。


(部屋を見回し)いやぁ今回は、背景担当の方やキャラクター担当の方までオールスタッフ集合で対応いただけるとは感激ですね。

これだけ多くの方の前でお話しするのは緊張しちゃいますね。プレッシャーかかりますよ。

ロビーには、こんなおじさんの私でも見たことあるゲームが数多くありました。
今回はお招きいただき、ありがとうございます。

―― ファンタジー営業部、A部長、B主任、C主任、D職員&CAPCOM社員打ち合わせ中

これが「ロックマン10」ですか。画面も音楽も懐かしい感じですな。


ファンタジー営業部でも、Project03までは我々の顔が8ビットテイストのこんな表現でしたね。(www.maeda.co.jp/fantasy/project03/01.html)

さて、これらステージですが…いったいどういう方向性で実現すれば?


(ニコニコしながら)それは前田さんにお任せしますよ。


(て、手強いで…方向性もこっちで考え、ゆうこっちゃな…)


(設定に自由度がありすぎて制約条件が決められない難しさに、皆、気づいたな。)


まずは、この8ビットのギザギザ感を実現するとしたら、いろんな色のビニール製カラーボールを壁面全てに貼り付ける仕上げにでもしますかね。

案外、そういう遊びが、地震の減災技術につながったりするんだよな。


では、まず「ロックマン10」の世界感を確認させてほしいのですが。


ロックマンシリーズは必ず8人のボスがいて、最終的にいつも諸悪の根源はDr.ワイリーなんです。今回がどうかは…今の我々ではわかりませんね。

…なぜ、お前が説明すのや?


好きなんですよ。ロックマンの妹、ロールみたいなタイプ。


…趣味は否定せん。しかし、警察のご厄介になるようなことは避けろよ。


(全く無視して)そうですね。今回の設定は、元々人間のために働いていたロボットたちが、ロボットエンザの影響で熱暴走してしまうというという内容です。


このロボット達、いずれも環境関連施設で働いてたんですね。


その通りで、今回のロックマンに登場するボスたちはエコなボスが多いですよ。
ソーラーマンは人工太陽の研究施設で働いていたロボットだし、チルドマンは北極圏の自然観測ロボット。設定そのものに「地球温暖化によって氷河が溶け出すのを食い止めるのが主な仕事」とあるようにCo2排出問題を憂慮してたロボットです。

インフルエンザに環境問題。さすが時代の流れは外さないわけですね。


ウチも「環境経営No.1と言われる建設会社」を目指してる時代やからねぇ。


環境問題の中でも個人的に感動したのはポンプマンだね。
よくぞ下水処理場を取り上げてくださったという気持ちだ。
下水道が環境負荷低減に不可欠な施設であることは誰もが知っているけれど、なかなかトピックにならないからね。



下水関係の仕事やったら直径約4メートル、長さ約2キロの下水道トンネル工事の経験はあったけれども、たしかに地下やから、家族にも見せられんしな。

もし、この後「ロックマン11」が出て、そこに下水処理場のステージがあるのなら、ロックマンの移動につれ「ここはポンプ所。深いところから下水を汲み上げるよ!」とか「ここは沈砂池…」「ここは第二沈殿池…」などの紹介テロップも流して、啓蒙活動に一肌脱いでいただきたいところだ。

そ、それは売れないんじゃ…?


お言葉ですが、なんか逆効果なるんちゃいます?


「ブルースモード」「フォルテモード」に続く、啓蒙用「シビルモード」があってもいい。でも、じっくり見学してほしいから、戦いはなしだ…。

「シビル」って…「土木」の英訳が「シビルエンジニアリング」だと知らないとわかんないですよ。

(小声でA部長に)こんなに熱く脱線する部長は初めてみましたよ。


(こっそりとC主任に耳打ち。)好きなんだ。あそこに座ってらっしゃる、伊藤亜紀子プロデューサーみたいなタイプが。
勉強のために「ロックマン10」のホームページ「ロックマンからのお知らせ」を読んでるころから好感を持っていたが、会ってみて確信した。ウチの息子の嫁に是非…先ほどから感心してるのだが、あの気配りはダム現場でも十分通用する。





ダム現場は関係あらへんがな…ここでは人間も「ロボットエンザ」になるらしいでんな。

…あ、部長これ飲んだんじゃないんですか。
「ロックマンE缶ドリンク」のふたが開いてます!


そういや、心なしか歯が青く色づいてるんやないか?


色こそ独特ですが滋養強壮剤でなく、単なるスポーツドリンクのはずですがね。


(全く無視して)では話を本題に。今回、我々前田建設ファンタジー営業部として受注するならどこのステージがいいか?私はブレイドマンステージだと思う。



ブレイドマンは世界遺産である古城のガイドロボットです。


石造りか。日本ではあまり実績がないから難しいね。


世界遺産の古城か…ノイシュバンシュタイン城を思い出すな…。


でました!王道中の王道。気持ちいいほど単純ですね。


(しめたという表情で)しゃあないのや。弟が(声を裏返して)“ドイツ”勤務でな。
この間もサンダルでちょこっと見にいったばかりや。
ま、君にしたら近所の公園にブランコ漕ぎに行く感じかね。

この前、大騒ぎしながらサイト検索してたじゃないですか!


あ、隣にあるホーエンシュバンガウ城もお散歩コースよ。


ゲームを観察してて気づいたんですけど、ブレイドマンはロボットエンザにかかりながらもなお、城に対する誇りと愛情が強く残ってたんだと思いますね。

そうかね。ま、私もゲーム設定から考えれば、このブレイドマンステージは古城を要塞化したリニューアル工事だとは考えていたんだが、その理由は?

割り込んですみませんが、ブレイドマンだけでなく、すべてのステージがリニューアル工事になるかと思います。

おー、そうでっか!建設業界でも、新築市場からリニューアル市場への移行が話題になってますから、これまたタイムリーでんな。

ストーリーによれば、ロボットエンザの発生から1カ月後にはロボット達が街を破壊し各地を占拠しています。ロックマンたちの反攻はそんなに間をおかないでしょうから、ブレイドマンが要塞化リニューアル工事に使えた工期は1?3ヶ月程度のものでしょう。

なるほど、そやな。


我々がわずか数ヶ月で実在の古城を対ロックマン用の要塞にせよといわれたら、大きなH鋼や鉄板を使い、大きなクレーンで吊りこんでしまうだろう。


これは対地震の例。工期?コスト?居住者の生活を優先すればこういう形に。

つまり内外観が悪化してもいいから、ゴツイ補強材を使う方法を考えるはず。
ところがゲームを見るとそうじゃない。まず床には金属タイル的な材料をびっしり敷き詰め、壁や境にも小さなクロス部材(×状のもの)が入った金属ブロックを使用している。
つまり既存の入り口や通路を使って、人間が手で運べる手段をとっているんだ。



確かに手間がかかっている仕事だ。私が注目したのは似てるが別のところ、壁面のところどころに組み込まれている金属製の機器だ。既存の石組みの中に違和感無く収まっているだろう?これも大変な手間だ。

こちらの話も納得ですね。


私は土木屋なので、石積壁の一時撤去および現状復帰の経験があるが、一つ一つの石にマーキングをするなど、気を遣う仕事だ。

しかも、ブレイドマンは組み込まれている機器を、抜き取った石から型を取ったかのごとく完全に置き換えられる大きさと形状で、設計?製造しているわけですね。

…えぇ皆さま。大変熱うお話のところすみませんが、私にはぜーんぶ同じ。まるでコピペしたように完全同一の石の連続にしか見えへんのですけど…

…飲みが足りないようだな(と「ロックマンE缶ドリンク」を差し出す)。


資機材のメイン搬入路は、ゲーム中でロックマンが通過していく「自動シャッター」になるだろう。ロックマンの身長(132cm)から考えれば高さ約3mといったところか。


私としてはブレイドマンに是非このリニューアル工事にぴったりなクレーン、“墓場生まれの欧州育ち”前田製作所の「かにクレーン」をご購入していただきたいですね。


詳しくはこちら(www.maeda.co.jp/fantasy/project04/07.html)を。


ブレイドマンの部屋までの様々な妨害は、セキュリティシステムのリニューアルで対応したのでしょう。現在でもセキュリティ強化の要望はますます増加し、カードキーや社員カードをなくすと自分のマンションやオフィスにも入れないのが当然になっています。なのに、ブレイドマンに限らず各ボスキャラは乱暴でありながらロックマンが進入できる余地を残している…ここにも残された良心の存在を感じます。

逆に「ロックマン10」風のマンションセキュリティもありっちゅうわけか。帰ると玄関ホールで、空き巣が跳んだり跳ねたり苦労してるんや。おもろいなそれ。

現在のセキュリティは人を進入させないことに焦点が当てられ、センサーも触れれば音が出る程度のパッシブなシステム。しかし「ロックマン10」では侵入者を攻撃する超アクティブなセキュリティ。それだけ強力なのに、実は繰り返し挑戦すれば進入を許してしまう…つまり学習機能を搭載していないんですね。ブレイドマン自身が優秀な人工頭脳をもっているだろうに、ですよ。

そうかぁ、それも確かに矛盾ですね。ブレイドマンの残された良心が、奥底でロックマンを呼んでいるのかもしれませんね。

ブレイドマンステージにおけるロックマンの進入動線ははしごを主としていますし、そもそもロックマンは相手の許可を得ずに進入しているわけですから、実はゲームの舞台は裏口=メンテナンス動線とも考えられます。だから意外とセキュリティが甘いのかもしれません。

いや盛り上がってきたな。じゃ、まずは我々が実現したいステージは「ブレイドマンステージ」という結論でいいな。

そうですね。やりがいある仕事になりそうです。


でも会社のコンプライアンス上、悪者の手伝いしたらあかんのやない?


でもそれ言ったら今回の業務、まるでだめですよね。


そこがお前の甘さや。ええか、我々は今ロックマンの世界における、ブレイドマン発注の対ロックマン用要塞化リニューアル工事という思い込みで話をしてる。
けどそれを、この現実世界における、例えば「ロックマン10型アトラクション」という建築として実現することを考えたらどや?

その手か、ま、ありかもしれないな。


例えば、東京メトロ丸の内線の東京駅から、JR京葉線の東京駅に移動しよう思うたら、えらい長い連絡通路あるやろ。

いつも歩いてて「つまらんな、何とかならんかな」思うて黙々と歩いてるが、あそこなんかピッタリやで。しかも煉瓦調の壁やし、通路の前後には適度に階段やスロープもあるし。

人間の走力やジャンプ力には限界があるから、特に高さ方向をデフォルメしたり、転んでも大丈夫なように柔らかい素材をつかったりと、怪我防止が大変そうですが、面白そうですね。

そやろ。日頃運動不足のサラリーマンが、あの通路で楽しくリフレッシュや。


でも常設は厳しそうだなぁ。イベント的な感じですかね。


テレビ番組にもそういうのあるし、ああいう場所でCAPCOMさんがロックマンのPRかねて、ちょこっとイベントやるのがいいところかな。

そや。そしてCAPCOMさんの新入社員試験や昇進試験もそこでやるんや。クリアした人が採用、昇進と。

―― やがて話は雑談気味に他のステージに及ぶ。後編は明日公開

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ロックマン 10 宇宙からの脅威!!

引用元:RMT(リアルマネートレード)専門サイト『RMTワンファースト』

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